INTRODUCTION


文芸作品の名匠ジェームズ・アイヴォリーが描く、人生の“最終目的地”

『眺めのいい部屋』、『ハワーズ・エンド』、『日の名残り』など、映画史に残る文芸作品の数々を生み出してきたジェームズ・アイヴォリー。本作では、アメリカの現代作家ピーター・キャメロンの同名小説を原作とし、南米ウルグアイを舞台に、亡き作家の妻、愛人と娘、兄とそのパートナー、作家の伝記を執筆するために訪れたひとりの青年、それぞれが抱える事情と人間模様を巧みに織りこみ、人生を見つめ直す物語を描き出しました。
脚本には『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』でアカデミー賞脚色賞を受賞したルース・プラワー・ジャブヴァーラ、撮影はスペイン映画界の至宝ハビエル・アギーレサロベ、美術は『上海の伯爵夫人』のアンドリュー・サンダース、そして音楽は『モーターサイクル・ダイアリーズ』でウルグアイ人初のアカデミー賞受賞を果たしたホルヘ・ドレクスレルが手がけ、退廃的ムード漂う世界観を創りあげました。繊細なウィット、美しい情景、そして運命的なロマンス。小説のページを繰るように味わう、最高に洗練された文芸作品である本作は、まさに、現在84歳にして現役最高峰監督の名匠ジェームズ・アイヴォリーの集大成といえます。

名優アンソニー・ホプキンス、日本を代表する国際俳優・真田広之、
豪華出演陣の共演が奏でるアンサンブル

凛とした佇まいと裏腹に、過去に苦しみ、青年の伝記執筆を拒み続ける作家の妻キャロライン役には、アメリカの実力派女優ローラ・リニー。青年の出現にとまどいながらも心惹かれていく作家の愛人アーデン役には、『アンチクライスト』で第62回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞したフランスの女優シャルロット・ゲンズブール。作家の兄アダム役をアイヴォリー作品に欠かせない名優アンソニー・ホプキンス、アダムの恋人ピート役を『上海の伯爵夫人』に続きアイヴォリー作品2作目の出演となる真田広之が務め、二人は25年間連れ添うパートナーという関係性を自然に演じきり、アイヴォリー監督との相性のよさを感じさせます。国際的に活躍する俳優陣が、故郷といえる場所を持たず、漂うように生きながら、人生の“最終目的地”へと向かう人物たちを、静かにかつ情感豊かに演じ、その見事なアンサンブルによって格調高い物語を紡ぎだしました。

STORY


愛することの孤独、愛されることのとまどい
そして見つめる、真実の愛を―

南米ウルグアイの人里離れた邸宅に暮らす、自ら命を絶った作家の妻、作家の愛人と小さな娘、作家の兄とそのパートナーの男性。孤立し朽ちかけた屋敷で、漂うような暮らしを送っていた。そこへ突然、亡き作家の伝記を書きたいというアメリカの青年がやってくる。妻キャロラインは頑なに伝記の執筆を拒み、兄アダムは公認を与える代わりに、青年オマーにある提案をもちかける。やがて浮上する作家の隠れた著作の存在。いつしか、愛人アーデンとオマーは互いに心惹かれあっていくが…。
ひとりの訪問者が止まっていた運命を動かす。そして辿り着く、それぞれの自分の居場所とは…。


北ウルグアイの田園地帯のけだるさと、カンザスの野太さを交錯させる舞台設定、大胆なジャンプ・カットが紡ぐリズム、照明から衣装まで…
すべてが人生の本質を突いている

―― ニューヨーク・タイムズ紙

ウェスト・エンドのエドワード王朝調で酔わせる “マーチャント=アイヴォリー”作品の真骨頂!

―― LAタイムズ紙

まるで文学のようなペース、うっとりする音楽、素晴らしい撮影や美術は、
現代映画が失ってしまった匂い立つような映画のエレガンスだ。
オープニングからエンディングまで釘づけになってしまった

―― ニューヨーク・オブザーヴァー紙

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