イントロダクション



村上春樹、中上健次らと並び評されながら、不遇をかこった小説家・佐藤泰志。その知られざる生きざまをいま――


2010年に劇場公開され、キネマ旬報第9位に選出されるなど大きな話題になった映画『海炭市叙景』(加瀬亮主演・熊切和嘉監督)。原作者・佐藤泰志の故郷である函館をモデルにした“海炭市”を舞台に、その土地で生きる人々の姿を力強く描き、複数の挿話が交錯する物語は多くの観客を魅了した。その原作者であり、“幻の小説家”と言われていた佐藤泰志も、映画『海炭市叙景』の公開により過去の著作の復刊が相次ぎ、大きな注目を浴びた。村上春樹、中上健次らと並び評されながら、文学賞にめぐまれず、90年に自らの命を絶った不遇の小説家・佐藤泰志。その知られざる、小説を書くことに捧げた生きざまを再現ドラマを交え、世に問うドキュメンタリー映画『書くことの重さ』。ひとりの小説家の生き方から、我々は何を思い、何を感じるのだろうか。


監督は、広島と長崎の両市で被爆し、二重被爆者となった山口彊さんを追ったドキュメンタリー映画『二重被爆』『二重被爆〜語り部 山口彊の遺言』の稲塚秀孝。北海道苫小牧市出身で自らも小説家を志していた稲塚監督は、同時代に北海道で生まれ、中央の文壇で活躍していた佐藤泰志にまばゆい憧れを抱きながらも、若くして命を絶ったその実人生に興味をもち、ドキュメンタリー映画の製作を思い立つ。 その趣旨に賛同するように集まったスタッフとキャスト。語りには日本を代表する名優、仲代達矢。ドラマ部分で佐藤泰志の母親役を演じる、歌手、加藤登紀子。また、仲代達矢が主宰する無名塾から結集した実力派俳優たちも、佐藤泰志の人生の再現に力を注いでいる。

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