PRODUCTION NOTES


『俺たちに明日はない』の奇跡

誰もが知る不屈の名作。主人公のカップル、ボニーとクライドの悲しい末路は余りにも有名。カップル・強盗・銃撃戦の末の逮捕劇など今作との類似点がいくつもあるが、大きく違うのは二人の間に子供がいることである。ボニーとクライドは守るべきものがなかったため刹那的な存在であったが、ルースとボブは守るべき二人の愛の結晶が違う道を辿らせた-。 ボニーとクライドの別の道、もう一つのボニーとクライドの物語とも呼び声高い。
◆『俺たちに明日はない』(67)大恐慌時代の実在の銀行強盗であるボニーとクライドの、出会いと死に至るまでを描いた犯罪映画。アメリカン・ニューシネマの先駆的存在として有名。

テキサスの宗教

今作にそこはかとなく漂う、神格性はやはりテキサス州のベースによるものだろう。テキサスの宗派は87%がキリスト教である。ルーニー・マーラ演じるルースの聖母マリアのような存在感はそういった土壌が関係しているのかもしれない。また地域の特性として保守的で閉鎖的な面がある。それらの特性は作品の中でも顕れている。

物語の舞台テキサス・ヒル・カントリー

アメリカ合衆国テキサス州中央部に広がる丘陵地帯。州都オースティンの西郊、州第2の都市サンアントニオの北郊から北西郊にかけて広がっている。この地域の土壌は概ね石灰岩性で表層土が薄い。テキサス・ヒル・カントリーは文化の多様性に富んだ地域でもある。この地域では植民地時代にテキサスを領有していたスペインをはじめ、ドイツ、アルザス、スイス、オーストリア、チェコなどからの移民が持ち込んだ文化が融合して食文化、ビール、建築、音楽に影響を及ぼし、南部や南西部の他地域とは異なる「テキサス的」な文化が創り上げられた。例えば、ドイツから持ち込まれたアコーディオンは、土着のメキシコ系テキサス人(テハノ)の音楽に影響を及ぼし、19世紀にはテハノ音楽におけるポピュラーな楽器となった。

愛を知り、人は変わる

人を愛することで初めて自分を変えようとする本作のボブとルースの二人だが、監督自身、本作の脚本執筆中の出逢いにより本作が全く違った形になったと語る。「2009年に脚本の執筆を始めた頃はアクション映画を予定していました。その後、今の妻に出逢い婚約、結婚式を挙げる場所を探し始め、これからの人生を誰かと共にすると決めたことで、負うべきあらゆる責任感がこの脚本に染み込んでいった。私は映画づくりに携わる人間です。これまで自分の時間のほとんどを旅することに費やし、まったく自由な時間を過ごしてきました。それが突然、大事な人ができたのです。このことが作品に何か決定的なものを与え、また、責任感も本作の重要な要素となりました」。

時代背景

本作の舞台は70年代だが、劇中に登場するパトカーは厳密には70年代のものではない。同様に50年代や60年代風の衣装やそれより前のものも、すべて意図的にデザインされている。だが不思議と作品の雰囲気にはマッチしている。
70年代を舞台にすれば、ストーリーは時を超えて現実味を帯び、同時に現代っぽさと古めかしさも表現できる。監督がこの作品で意図したのは、できるだけ時代性をなくすことだった。

カントリーファッション

新たなるファッションアイコンとして呼び声高いルーニー・マーラ。今作ではどこか懐かしいカントリーファッションに身を包んでいる。ネルシャツやコットンのスカート、ウェスタンブーツをサラリと着こなすスタイルは彼女の潜在的なセンスによるものだろうか。ルーニーのようにナチュラルなヘアスタイルと合わせれば、現代でも十分に参考になる着こなしであろう。
また、男性陣の着こなしもチェックすべきである。ケイシー・アフレックはこれまたネルシャツを着こなし、男性なら一度は憧れる『パーフェクト・ワールド』(93)のケビン・コスナーを彷彿とさせる。

backtop